徳島家庭裁判所 昭和38年(少)428号
主文
少年を初等少年院に送致する。
理由
少年は別紙のとおり罪を犯したものであるが、
一、家庭環境
少年は生後まもなく実父と死別、母が少年を連れて実家へ帰つた後、母の従兄と情交関係を生じ勤務先の都合で小学五年生の時、徳島市へ転入、以来住居地を二、三度転々とし、現在の中学校へは二年二学期の半ばより通学している。
その間、母は旅館の女中となり、母と内縁中の夫は会社勤めという状態で、アパートでほとんど少年一人放任されており、母は月一、二度帰つて来るが、日常生活は少年の一人暮しの状態である。こうした環境による少年の空虚感、義父との疎遠感、不満、不安の代償として粗暴行動が助長されたものと解される。
二、少年の資質
この事件は学校内での暴行であり、学校不適応の一種とみられるのであるが、その根本は少年の攻撃的代償反応であり、爆発性、退行性の現れと見るべきである。時に学校で注意されることがあるが爆発的に亢奮し、他の生徒に体力的優位を誇示するもので、学校の指導上、頭を痛めていたのが現状であつた。
このようにみると少年の更生は現在の学校不適応の解消のない限り学校に於ては困難であり、家庭も母が不在というのでは保護する者が居らないので、矯正教育によるのが相当であると認めるので主文のとおり決定する。
(適条)
別紙犯罪事実の
(1)および(3)の事実につき、各刑法第二〇四条
(2)の事実につき、刑法第二〇八条
少年法第二四条第一項第三号
少年審判規則第三七条第一項
少年院法第二条第二項
別紙
犯罪事実
少年は
(1) 昭和三八年四月○日午後一時頃徳島市○○町○○中学校三年一二組の教室内において市○弘(同校三年生)に対し何の理由もなく「お前、生意気そうな」と因縁をつけ同所において同人の顔面および下腹部を手拳で三回殴打し、更に板の間に投げつけ左足で横腹を蹴るなどの暴行を加えて鼻血を出さしめ傷害を与え、
(2) 同年五月○日午後四時頃前記中学校三年一四組の教室内において佐○勝(同校三年生)に対し「万年筆をちよつと見せてくれ」と頼んだところ同人が拒絶したので立腹し、同所において同人の顔面を一回殴打し更に手拳で下腹部を一回殴打して暴行をなし、
(3) 同年五月○○日午後三時四五分頃前記中学校技術室において関○哲○(同校三年生)が前日橋○政○(同校三年生)に対して「ズボンがバツチみたような、なあ」と言つたことに因縁をつけ、同所において関○哲○の顔面鼻部を手拳で二回殴打して鼻血を出さしめ金治五日を要する傷害を与え
たものである。